取っ手無しの極厚フライパンを買った
「使い捨てない生活」「これぞ!という道具」、そんなアイテムに興味がありながらなかなか選べずにいましたが、すこしづつ〝台所の最終兵器〟が取り揃いつつあります。
長らく使用しているティファールのセットは、鍋の大小とフライパンそして深型フライパンという4つの組み合わせです。どなたもそうだと思いますが器具には使用頻度の差があって、テフロンの痛み方にも差が出ます。
錦糸卵(薄焼き卵)をストレスなくスルッと焼きたい時は痛みの少ないテフロンで焼いていましたが、卵が剥がれずやぶれてしまった時は「あぁついに」と思いました。
既存メンバーを見直す
うちの焼き物用調理器具は、取っ手のとれるティファールフライパン28cm、取っ手のとれるティファール深型フライパン28cm、中華鍋、グリルプレート。
テフロンはかなり焼けてきてます。
ずっと付き合えるのは、中華鍋とグリルプレート。
私が今必要な形・素材・厚さは?
中華鍋は丸底で、グリルプレートは直径20cmのミニサイズ。
→必要なのは底部分が平らで大き目のフライパン。
ティファールの28cmのフライパンを使ってきたので、平らな面が同じくらい広いものを買おう。
手入れの大変な銅製品、パスタのソースなどに適したアルミ製品、熱伝導の悪いステンレスを避け。。
→油なじみの良い鉄板で、商品を探そう。
炒め物は薄い鉄板を煽って作るのが美味いらしいが、焼き物は鍋をあおる事なくじっくりじんわり熱を伝える板厚の厚い鉄板が良いそうです。
炒め物担当は健在なので、できるだけ板厚の鉄板を探したいところです!ただし私の場合は「取っ手がとれる」事も条件から外せなかったため、選択肢がとっても少なくなりました。
条件は「底が平、28cm前後、鉄、極厚、取っ手が無いor取れる」となりました。
もし厨房で働く多くのプロが、「取っ手が一体の頑丈な物のほうが思う存分戦える獲物に相応しい」と考えるとしたら、造り手は取っ手を別にする労力を、がっちりとした商品を作る事に注ぐことで、プロに使って貰える商品づくりをするのかもしれない・・・とか思ったらすごく希望がしぼんでいく気がしました。
「極厚鉄板」と「鋳物」
フライパン厚い方が良い理由
軽いものは扱いやすいが熱伝導・熱容量の関係で食材を入れると冷めやすく(食材が)くっつきやすい、また加熱部の温度がすぐ上がるため焦げ付きやすいなどのデメリットがあります。板厚が厚ければ熱源と触れる鍋底の外側から、食材が触れている内側まで熱が到達するのに時間がかかり水平方向にも熱が広がって行きます。板厚が薄いものは熱が一気に垂直方向に伝わり、水平方向に広がる前に食材を焦がしてしまう。
肉は厚い鉄板で焼くほど美味いのだそうです。
板が厚い・熱容量が大きい事は、温まりにくい事でもあるけれど予熱に時間がかかるかわりに、慌てず落ち着いて調理できます。一旦予熱してしまえば、温度も下がりにくく適温を維持するため、弱火でも充分に適温を維持できます。(参考:加熱調理 鍋の材質・板厚による熱伝導性と熱容量での大きな違い)
鋳物
鉄フライパン探しで厚みを求めていくと、鉄板ではなく鋳鉄にたどり着きます。南部鉄鍋なんかのあの、黒くてざらざらして分厚いのがそれです。(4~10mmなど)
鉄板は粘りがあって一枚でプレスしたりできるようですが、厚くなるほど加工も難しくなるんでしょうかね、一定以上の厚さの商品は「型に溶かした鉄を流し込む」方法になって、鋳物ということになってくるようです。材料は炭素の含有量が多く、硬く粘り気がないため、割れてしまわないよう肉厚に形成するんだそうです。
鋳鉄(肉厚)
- 加熱に時間がかかるが冷めにくい
- 温度が落ちにくい為、ステーキなどのジワジワと加熱すると美味しい料理に向く
- 型を作れば量産が容易なので製造コストが安い
- とにかく重い
鉄鋼板(薄手)
- 鋳鉄と比べ加熱が早い
- 鋳鉄と比べ軽く取り回し易い
- 毎回形成するので鋳造と比べ製造コストが高い
厚さを追及するなら鋳物を買うしか選択肢は無いのかもしれないと思いましたが、しかし取っ手無しを条件に含めていくと検索結果がスキレットやダッチオーブンで埋まってしまいます。。オーブンに入れられたり、ステーキ皿のようにそのまま食卓に出せたりという商品で、径が小さくなったり深型になったりと、求める像とちょっと違うのです。
一定以上の大きさがあって取っ手が取れる極厚パンは選択肢がありません。
OIGEN ピアット27cm(「及源鋳造株式会社」さん)
惜しい・・・フチが低すぎる。薪をくべた中にドーンと投入してしまうには良いですが、キッチンのガスコンロで使うには・・・汁が垂れるなど掃除が大変そうです。
極厚鉄板
そんななか、溶かした鉄を強力なローラーで押し固めた1枚の板を型抜きして、極厚鉄板商品を作っておられるところがありました。(6~12mmなど)
コストは上がりますが、無敵な気がする。
内径300mmの両手持ち、板厚6mmの魅力・・・(「鉄板工房」M.M.Factory さん)
とはいえさすがに日常使いには重いですよね。。足の上に落としでもしたら・・・骨にヒビ入っちゃうかもですよね。それにキャンプに行きたくなっちゃいます。。
結論:COCOpan買いました
実は取っ手が取れるという点ではCOCOpanが早めに候補にあがっておりました。
ですが、鉄板工房さんの極厚鉄板を見てしまったので、美味しさを作る極上の厚みに目がくらんで、決められなくなっていたのですが、2~3周回ってかえってきました。
底面の板厚は3.2mm、これでもぜんぜん薄くはないんですよ。ずっしりとしています。極SONS COCOpanプレミア 28cm(「株式会社ここ」さん)
6mm以上の鉄板を見た後で、ついインパクトを薄く感じてしまっていましたが、本当に十分な厚さなのです。
ただ決定打は、取っ手を既に持っていたという主婦くさい理由ですが。笑
やっとこ鍋の取っ手が使いまわせるのは嬉しい!
重量があるのでしっかりホールドできるか心配でしたが、同梱されていた冊子のイラストで逆手にしていました、持ち上げて運びたい時はこうするんですね・・・!
実際に掴んでみましたがすごい安定感です。雪平鍋でしか使っていなかったので逆手に持つ発想がありませんでした。取り扱い説明書もしっかりと読みました。
油ならし・油返しして使い始める
手順に従って油ならし、油返しを繰り返して使っていきます。新しいフライパンとの生活のスタートです。
キャベツを炒めてみました。火を止めて他の作業をしていました、ふと見たらフライパンの上に取りこぼしていたキャベツのカスにさらに火が通って黒コゲになっていました。本当にしっかり熱を蓄えているんですね・・・使い終わったらすぐに料理を取り出して洗うように気を付けます。
これから長い付き合いの中で育てていくのが楽しみです。